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ポルシェ用語辞典エフワン(F-1)参戦の歴史

 

カテゴリ:ア - オ , その他ポルシェ関連用語

ポルシェのF-1への挑戦は、1958年〜1963年の第一期と、1983年〜1987年の第二期の、1991年の3つに分けることができる。

まずは第一期。
1950年代後半、すでにル・マンやミッレ・ミリアなどのメジャーレースで活躍していたポルシェは、これらのレースに続く挑戦の場としてF-1グランプリを選択した。F-1への参戦が決まると、早速ポルシェは自社製マシンを製作して、1958年シリーズ第3戦のオランダGPにデビューした。初戦での結果は、予選17位/決勝11位。初出場にしてはまずまずの成績だ。翌1959年シーズンからはフル出場を開始。参戦40戦目に当たる1962年のフランス GPでは、ダン・ガーニーのドライブにより初優勝を上げている。この頃になると、ポルシェはトップチームの一つに挙げられるようになっていたが、1963 年シーズンをもってF-1から退き、活動の場をラリーやスポーツカーレースへと移した。

次いて第二期。
1983年、ポルシェは耐久レース用のマシン「956」で大活躍していた。この年のル・マンでも総合優勝を挙げている。このポルシェの活躍振りに目を付けたのが、F-1マクラーレンチーム監督のロン・デニス。彼は自分のチームが使用しているフォード(コスワース)エンジンのパフォーマンスに満足がいかず、新しいパワフルなエンジンを探していたのだ。さっそくロン・デニスは、ポルシェにF-1用のターボエンジンの開発の話を持ちかける。が、新設計のエンジンを一から開発するには莫大な費用が掛かるため、ポルシェはこの誘いをいったん断った。そこでロン・デニスは、大手電子メーカー「TAG」(Technuques d'Avant Garde)総帥のマンスール・オージェイに、エンジン開発の資金援助を申し入れた。結果、「TAG」は協力してくれることになり、「TAGポルシェ」というエンジン開発プロジェクトが誕生した。こうして、TAGのバックアップを得てF-1用エンジンの開発に乗り出すことができたポルシェは、パワフルかつパッケージングに優れた、V型6気筒ツインターボエンジンを完成させる。エンジンが完成すると、ロン・デニスはフォードとの契約を無視して、自分のチームのマシンにTAGポルシェ・エンジンを搭載し、この年の第12戦オランダGPに投入した。こうしてポルシェの第二期・F-1挑戦が幕を開けた。この年、マクラーレンは念願のポルシェ・エンジンを手に入れたが、目立った活躍はできなかった。その原因はシャシーにあった。この年使われていたシャシー(MP4/1E)は、元々フォードエンジン用に開発されたものであるため、TAGポルシェ・エンジンとの相性(パッケージング)があまりよくなかったからだ。
翌1984年シーズンは、TAGポルシェ・エンジンに合わせて新しいシャシーが投入されたため、マクラーレンチームは大活躍。ニキ・ラウダが5勝を挙げてドライバーズチャンピオンに輝き、同僚のアラン・プロストも7勝を挙げて、マクラーレンチームに10年振りのコンストラクターズ・チャンピオンをもたらした。続く1985年シーズンは、アラン・プロストが6勝を挙げて、マクラーレンチームはドライバーズ&コンストラクターズの両方のタイトルを獲得した。この後もポルシェの快進撃は続き、1986年シーズンもアラン・プロストが4勝を挙げてドライバーズチャンピオンになっている。1987年シーズンは、タイトルこそ獲得できなかったものの、アラン・プロストが3勝を挙げた。ライバルを寄せ付けない速さと強さでグランプリを席巻し、十分な成績を残すことができたポルシェは、この年をもって再びF-1を去った。

最後は第三期。
自動車メーカーの本格的な参入により、1989年頃になると、F-1マシンのエンジンは1000馬力を越えるほどにまで進化した。これは、もはや人間が制御できる限界を越えており、大変危険だという理由で、1989年シーズンをもって過給器(ターボエンジン)の使用が禁止された。翌1990年シーズンからは、自然吸気エンジンしか使用できなくなったため、エンジン供給メーカーは、まったくの新型エンジンの開発に乗り出さなければならなかった。
エンジン開発が振り出しに戻ったのをチャンスと判断したポルシェは、1990年から新型エンジンの開発に取りかかり、しっかりと熟成を進めたうえで、 1991年シーズンから再びエンジン供給を開始した。今度のパートナーはフットワーク・チーム。F-1界では、強いポルシェの復活に期待が高まったが、ポルシェ製の12気筒エンジンはホンダやフェラーリのエンジンよりも重いうえ馬力も低く、信頼性も乏しかった。このため、フットワーク・ポルシェは予選落ちの常連に仲間入りする羽目に。なんとか決勝に駒を進めることができても、1度も完走を果たすことはできなかった。結局6戦のみ出場し、まだ半分以上もシーズンを残したまま撤退した。

【ポルシェ・F-1参戦略式年表】
(1958年)第3戦オランダGPグランプリにデビュー。予選17位/決勝11位(C.G.ド・ボーフォール)
(1962年)第?戦フランスGPで初優勝(ダン・ガーニー)
(1963年)このシーズンをもってF-1から撤退
(1983年)TAGポルシェとしてマクラーレンチームにエンジン提供を開始
(1984年)ドライバーズ&コンストラクターズ・タイトル獲得(シーズン通算12勝)
(1985年)ドライバーズ&コンストラクターズ・タイトル獲得(シーズン通算6勝)
(1986年)ドライバーズタイトル獲得(シーズン通算4勝)
(1987年)このシーズンをもってF-1から撤退(シーズン通算3勝)
(1991年)アロウズ・チームにエンジンを供給。6戦出場したのみで撤退
優勝回数26回、PP回数8回

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