羽根幸浩のS耐日記通算17回 ル・マンのテストデーに行ってきました
2002年05月23日
JGTCの第2戦を欠場して、ル・マン24時間のテストデーに飛び立った羽根選手。FIAで培ったGT3Rのセットアップ能力を買われてのル・マン行き。さすがです。
今年は、国内中心にレース活動をするわけですが、第二戦の富士は欠場してル・マン24時間のテストデーに行ってきました。
数年前までは、予備予選といわれていましたが、参加申し込み台数が多すぎて走らすこともできない状態なので、すでに書類審査などで選別されたチームだけがテストデーとして走ることになっています。とはいえ、リザーブの車や2カーエントリーしていて1台しかエントリーが受け付けられていない車なども数台走っていますが……。これらは、確率的には低いですが、レースウィークに辞退する車両があった時に、繰り上げになる可能性があるらしいのです。
ル・マンの現状は、エントリーを受理されるだけでも大変な状況が近年続いています。
ワークスを除くプライベートチームは、前年の優勝チーム、昨年のプチ・ル・マンでの優勝チームがシード。その他は、アメリカン・ル・マンシリーズを戦っている車両が優先され、主催者の独断で選別されていきます。受理されなくとも、内容が説明されないのがまたフランスらしくて……。いろいろと政治的な部分も含まれるんでしょうか。
タイサンは、2000年のクラス優勝と継続的に日本から参戦していることもあって、この難関を突破できているのでしょう。いろいろな部分でアピールがないと、テストデーを受けるまでの戦いにすら生き残れません。
サーキットに着くと、2002年ル・マン仕様のGT3RSの新車が黒赤のヨコハマカラーに塗られてすでに納車されていました。タイサンは、毎年新車でル・マンを戦っています。ル・マンは、新車じゃなきや駄目だというのが千葉監督の持論で、その思い入れに情熱を感じます。
GT3Rのル・マン仕様について、簡単に説明しておきましょう。
JGTC仕様との一番大きな違いは2つ。
フロントトレッドが左右1インチずつ広がっていることと、フラットボトムのアンダーカバーが付くこと。
これによってどう車の動きが変わるかを確認するのが、今回僕が行った目的でもあります。なにせワイド仕様は、昨年すでに僕は経験しているので、参考になる部分が少しはあると思います。
FIA仕様との違いは、フロントバンパーが(FIAはエクステンションの付いた仕様)一体成型のワイドであることと、アンダーカバー(FIAは禁止)が付いたことによって、どう操縦性が変わるのかの比較から始ります。
アンダー対策として広げられたフロントトレッドは、日本では逆にオーバーステアの傾向が強くなってしまいます。どうやら、日本のタイヤには向かないらしいです。本選を走る余郷君のセットアップを主体に、約8時間をトラブルなく走り切り、クラス5番手のタイムでテストを終えました。感触的には、僕個人的な好みのセッティングではないですが、実際に本選を走るための方向性は見えてきたと思います。
実際に走ることになったら、もうチョット考えよかなァってところです。
それより、次回のJGTCは菅生。
この辺で復活したいと思っています。