羽根幸浩のS耐日記第1回
2001年05月16日
今回から始まった、「羽根幸浩のFIA GT選手権参戦日記」。このコーナーは、2年前、「フライジンガー・モータースポーツ」から、日本人初のFIA GT選手権フルエントリーを果たした羽根幸浩選手のレポートをお贈りします。2年間のハイライトあり、エピソードあり、今年の模様ありといった、興味深い内容になるはずです。今シーズンのフライジンガーは、昨年までの993GT2から996GT3Rへマシンをスイッチ。さらなる活躍が期待できます。がんばれ、羽根選手!!
今年のデイトナもそうだったが……、いつも急なんです僕にやってくるチャンスは。なにせFIA GT選手権、第1戦のモンツァの予選が3月31日に行われるというのに、シートが確定したのは3月29日! もっと早く分かっていれば「安いチケット」買えたのに! ともかく、レース直前までシートを得られるか分からないのはツライ。
とはいいつつも、今年もフライジンガーから参戦できることになったので、とりあえず3月30日の朝、ミラノに向けて旅立ちました。先ほども書きましたが、予選は3月31日、決勝は4月1日。もうギリギリ。
舞台となるモンツァは、昨年走っている……、と言っても予選でぶつけられてミラノ市内の病院に運ばれたので、病院の中の方が詳しいかもしれない。なにせ、レースは一周もしていないのだから。今年、フライジンガーは「NGTクラス」にポルシェ996GT3RSで3台エントリーしています。昨年の 993GT2に比べるとスピードは遅いので、楽かと思いきや……、FIA GTでは20台近くのGT3Rがエントリーしていて、それはそれなりに非常にコンペティティブなレースになっています。ここでトップを取るのは、並大抵のことではない! イコール、世界随一のポルシェレースだといえます。
土曜の予選、15分間走っただけで、決勝は僕がスタートすることになり、今回はいつになく少々緊張しました。余談ですが、FIAのレースでは金曜のブリーフィングに出席しないと「$2000」の罰金というペナルティがあります。事前に頼んでおいてくれたので、今回だけは大目に見てもらいました。
スタートして、1時間後に最初のピットイン。通常なら、ワンストップで行けるのだけれど、ここはともかくハイスピードで燃費が悪く、どこのチームも2ストップ作戦を取ります。言い忘れましたが、FIAは3時間レースです。
何とか無難に2回のパートをこなして、最終的には8位でゴール。内容はあまりよくありませんでしたが、そこは激戦のこのクラス。この順位とて、そんなに楽ではありませんでした。
F1でなくとも、結果を残せる可能性がある環境(チームとかマシンとか、その他諸々)を手に入れるのは、なかなか難しい。結果を残すのは、もっとも難しい。
なにせ、FIA GTには本当に速いドライバーが山ほどいるのです。日本ではあまり知られていないようなドライバーが、アウディの契約ドライバーより速かったり。なんだこのおっさん、……なんてのが、めっぽう速いなんてザラです。世の中の広さ、自分がやって来た世界の狭さを思い知らされています。
コテンパンにやられて、そこで存在をアピールできたら本物かなァ、なんて思ってこの2年間をやってきたわけです。そこには、プライドや誇り、奢りなんてものはこれっぽっちもありません。すべては自分のため、そしていい結果を出すことが、応援していただいている方たちに対するお礼だと思っています。それほど、応援してくださるみなさんに感謝しているんです。
ちなみに、ここで紹介している写真は昨年のモンツァのものです。なにせドライバーとして、単身乗り込んでいるものですから、自分が走っている写真はないし、編集部が言うようなレース中の緊迫した写真なんか撮れるはずもありません。でも、今後、なんらかの面白そうな写真を撮って来たいと思っています。
【番外編】
今これを飛行機の中で書いますが、今回の飛行機はやたら込んでて最悪! ビンボーなので、エコノミーで行ってるわけですけど、隣の人がデブでまっすぐ座ってられない状態。だって体がシートからはみ出しちゃってるんだもん! おかげで、僕は傾いて座ってる。触れてる腕は、体温が伝わって暑いし! 12時間後には、身体が曲がっちゃってるかも? 何とかしてくれェ!!
そうそう、現地でサーキットに向かう途中、スタンドで給油をしました。ところが、41000リラのはずが、カードのレシートには81000リラとプリントされている! ビックリ! 「これ違ってんジャン!」って言うと、「ごめん間違えた」。すっ呆けて、現金で40000リラ返してくれた。なにも言わなかったらポケットに入れてんだろ、コノヤロー! 外国に行ったら、「おつり」や「レシートの金額」は、ちゃんとチェックしましょう。
と・く・に、イタリアでは!!
今回はマルペンサの空港の近くに止まって、翌日出発しようと思っていたのですが、近くにホテルはないらしい……。インフォメーションに人はいないし……。困った。何とか3星ホテルを探して予約。そのホテルまで、空港から15分ぐらいらしい。
タクシーに乗って……って、おいおい何所いくんだい!! すっ呆けて80000リラも取りやがって!
翌日のホテルから空港までのタクシー代は30000リラだったぞ!
こんなことばっか、イタリアは……。