羽根幸浩のS耐日記第10回 僕のT、これがなかなか憎めないやつなんです
2001年12月27日
来シーズンのアメリカン・ル・マン・シリーズ参戦の計画も、世界的情勢の中でなかなか難しい局面を迎えている羽根選手(そのほかにも、いろいろとストーブリーグの動きはあるみたいですが……)。このままグイグイと押してみるのか、押しても駄目なら引いてみるのか。そんな来シーズンのことは、とりあえず横ッチョに置いておいて、ただ今愛車の911Tを溺愛中だったりする。ちなみに、左の写真と本文とは一切関係ありません。
01年のレースシーズンも終わり、「ああ、来年はアメリカに行ってレースしてェなァ……」とカミさんに話したら、「なに浮世離れしたこと言ってるの!」と、どやされてしまった。ただ、次の言葉が、「行くならニューヨーク経由で行ってね! 生命保険たんまりかけとくから」だってさ。なんのこっちゃ!
どうもそっち方面(アメリカ)の話は、世界情勢的風当たりが強くてどうなるか分からなくなってきた。しょうがないから、クラシックカーレースでもやるか(ウソだけど)! とナローを買っちゃいました。73年のTですが、結構気に入って普段の足に使っています。雨の日はかわいそうなんで、車庫の中。かれこれ3ヶ月ほど乗っていますが、トラブルも3回チャンと経験させていただきました。
本誌Vol.6の巻頭特集の取材で富士スピードウェイに行ったときも、巡航速度○60km/h、最高速度○80km/hで快調快調!! だけど、なかなか怖いですねェ。古いクルマでスピード出すのは。富士のストレートをCカーで300km/hオーバーで走るのとは違った緊張感が、○80km/hを超えるとあります。
僕のナローの緊張感はどんな感じか。
それは、クルマに振動があると「壊れるんじゃないだろうなァ」とか「どっか取れたりしないだろうなァ」とか、これはイマイチ僕がナローを信用していないからかもしれないんだけど、ともかく身の危険を感じちゃうわけです。
それでも、高速を降りて富士スピードウェイまでの農道を走っていると、ナローっていいなァ、うん、と思えてくる。旧いクルマを操る楽しみは、技術がいるし「昔はこうやって走ったんだろなァ」と思わせてくれるものがある。旧いクルマのいいところは、それに乗ることによって、その時代に戻っちゃうところ。まさにタイムマシン。トラブルも3回出たけど、少しも腹立たないし。
ちなみに3回の故障を列記すると……。
1回目。鈴鹿サーキットの帰りに、シフトリンケージのジョイントが壊れて2速にロック。2速のままとろとろ帰ってきたけど、おかげで9時からのレース(バーチャル911DAYSカップ)に間に合わなくて、参加者のみなさんにご迷惑をおかけしました。すんません。
2回目。オルタネ-ターが壊れて岡山に1泊。
3回目。鈴鹿サーキットに向かう名古屋高速の上で、スロットルケーブルがプツン! 惰性で高速を降りようと出口に近づいたら、渋滞してるじゃないの! でも安心。そんな時は、さすがナロー! トラックが居並ぶ名古屋高速の細い出口の路肩もスイスイ!! なんとか降りることに成功しました。止まった後、一人で押しても簡単に動くぐらい軽いんでビックリ。安全な場所にナローを停めて、レッカー呼んで一人で待つ間、何人かに電話して暇つぶし。「止まっちゃった」って話すと、みんな笑う笑う。でも、とりあえず笑って済んじゃうところが、なんか憎めないんですよね。
そんなトラブルにもめげず、長距離もこなしています。ホントよく走るんです、これが。いや、よく走る気がするのかな。親の欲目じゃなくて、オーナーの欲目だったりして。
ナローについての続きはまた。