羽根幸浩のS耐日記通算29回 積極的な1ストップ作戦が裏目にでたか！？
2003年05月22日
03/4/26～27 仙台ハイランド
今年からステージをスーパー耐久レースに移した羽根選手。今年は、前回のこのコーナーでもお伝えしたように横浜タイヤのワークスチーム、「チーム・アドバン」からの参戦です。
今年のスーパー耐久は、羽根選手のヨコハマワークスチームの他に、ピレリワークスチーム、ファルケンワークスチームとポルシェだけでもタイヤウォーズの様相。また、最大のライバル、スカイラインは実質上ニッサンワークスマシンですから、嫌が応にも盛り上がるってもんです。
さて、注目の第1戦は、仙台で行われました。
1ストップ作戦のチームアドバンは、その作戦が裏目に出たか!?
ちょっと遅くなっちゃいましたが、スーパー耐久第1戦のお話。
今年のレースの幕開けは、4月27日に仙台ハイランドで行われました。ここ仙台は400Kmレース。ピット数の関係から、ポルシェがエントリーする1クラスも予選落ちが1台出るところが今までにない緊張を生みました。
木曜、金曜のプラクティスからポルシェ勢のタイム差は、0.5秒ぐらいで凌ぎを削っており、どこが予選落ちしてもおかしくない状態の中、土曜の予選が行われました。ライバルのスカイラインはというと、デイフェンディングチャンピオンの「エンドレススカイライン」は、余裕のタイム差。もう一台のスカイラインも、予選1発はターボ車の“アレ！”が利くので、大方の予想はポルシェが1台落っこちるだろうというところでした。
このレースは、予選のタイヤでそのまま決勝のスターティンググリッドに着かなくてはならないため、事実上予選は計測2ラップがいいところ。それ以上走ってしまうと、決勝がつらくなるのでどこも最短ラップで予選を切り上げたいと考えます。問題は決勝。基本的に、ポルシェは燃費的には1ストップ、それに対してスカイラインは2ストップとなるはずです。ポルシェは元々80kgのウエイトを積んでいることに加え、燃料タンクがスカイラインは120リッターなのに対しポルシェは100リッターしかダメ。「ちょっと、それはないんじゃないの！」レギュレーションのおかげで、どうしてもスピードは押さえ気味。現状では、スカイラインには太刀打ちできません。今のところ、決勝ではワンストップで行くのが、タイヤさえもてば積極的な作戦だと言えます。
ところが、予選落ち……が頭の中をチラついて、1ストップで行けそうな柔らかめのタイヤを選ぶのには勇気がいります。結果何チームかは、2ストップの柔らかいタイヤで予選に望んだと思います。とりあえず予選を通らないと話にならないんで……って。僕たちチームアドバン25号車は、堅実に決勝を見据えたタイヤ選択で予選に望みました。
で、予選は3番手で通過。結局、多くの期待を裏切ってポルシェは全車予選を通り、スカイラインが1台落ちることに。
客観的にみると、やはりポルシェが1台落ちていてもおかしくなかったと思います。そうならなかったのは、スカイラインがタイヤの新しいうちに、うまくアタックできなかったから。なにせ、10ラップしても同じぐらいのタイムを出していたんですから……。通常、新品状態と10ラップ目のタイムが同じなのは、考えられません。
それはさておき、僕たちチームアドバンは1ストップで何とかスカイラインを苦しめたい作戦。
スタートは相棒の織戸選手。前半いいペースで、1台抜き2番手につけます。スカイラインとの差も思ったほどではない。スカイラインが1回目のストップでピットインしたために、見かけ上は僕たちの25号車が1番手に浮上……。と思った頃からペースが落ち始め、スカイラインに抜かれ……、まだ落ちるの？ ってぐらい落っこちちゃいました。
結果的には、ポルシェ勢も2ストップ作戦のところが多かった。僕たちの25号車はタイム落ちが激しくなり、ピットインさせたい頃にはドライバーの規定周回数までどうにか引っ張るよりしょうがない状態……。予定より早く、ぎりぎり1ストップで行ける状態で僕にドライバーチェンジ。タイヤがかなりつらく、最初は押さえて走っていましたが、ピットの無線でペースアップの指示が出た。ところが、クルマは最悪の状態。コース上にいるのがやっと！ 抜かれるわ抜かれるわ！ 結局5位で完走ということになりました。なんとも情けないレースでした。おまけに終盤シートが合わず、肩に激痛！ 踏んだり蹴ったり。
結果的には、スカイライン圧勝。ポルシェも2ストップが正解だったみたい。しかし、これは結果論でチームアドバンの選択は積極的でした。
次までには、クルマを仕上げてもうちょっとスカイライン苦しめないとねェ！
