羽根幸浩のS耐日記通算30回 大緊迫のバトルの末、表彰台をゲット!!
2003年06月04日
03/5/10~5/11 スーパー耐久第2戦鈴鹿
第1戦の仙台ハイランドから、場所を鈴鹿サーキットへ移したスーパー耐久第2戦。
我らが羽根選手が、スカイラインとの大バトルの末、2位表彰台をゲットしました!
ウェ~ン、嬉しいよ~!!
前回の屈辱を晴らすべく、いろいろクルマにも変更を加え鈴鹿に臨みました。
鈴鹿は500kmレースなため、ポルシェも2回のピットインが必要で、スカイラインに対して前回のような作戦(ピット1回作戦)は通用しません。やっつけるには、単純に前を走るしかない! ということになります。
ピットで出番を待つ羽根選手 |
前回に比べれば、ウチのクルマはオーバーステアはかなり改善されてきましたが、絶対的なレースラップではまだまだスカイラインにはかないません。80kgのウェイトを降ろしてくれればな~! なんて小言を言いながら望んだ予選。タイムアタックは、前回と同じ織戸選手。ここで、なんとポールを取っちゃった! クルマのセッティングが特別決まっていたわけではないので、これは織戸選手の頑張りにつきるかな。とにかく、何年かぶりにスカイラインのポール記録をストップさせたわけだから、大金星! とりあえず「バンザーイ!」こうなりゃ、決勝はめいっぱい行くだけ! 状況がかなりスカイライン優勢なのに変わりはないですが、何とかなるかも? なんて希望に満ちてきちゃいました。
そして迎えた決勝は、朝から雨。これまたチャンス! 雨なら1ストップぎりぎりでいけそうなのと、雨の量によってはポルシェが速い。これはタイヤの問題で、雨が少なくなるとスカイラインに有利。雨が多ければ、ポルシェにチャンス。
いよいよ出番が近づいてきた。ヘルメットを被り、気持ちはバトルモードへ |
そんな中、決勝がスタートしました。
案の定、スカイラインは浅溝タイヤを選択。ポルシェには浅溝がない。空から落ちてくる雨は、かなり少なくなっています。前半水の量が多い間に、織戸選手が他車を引き離しにかかります。ここまでは、とにかくブッチギリ。
ところが、10周もするとラインが出来て水の量が減ってきます。そうなると、まずファルケンポルシェにパスされ、次いでスカイラインにパスされてしまいます。そうやって書くとラップタイムが遅くなったように思われるかもしれませんが、見た目とは違い、この時点で25号車のペースは落ちてはいませんでした。相対的に他車のペースが上がってきたということ。これはタイヤ選択の問題で、仕方がありません。後半、磨耗したタイヤでなんとか3番手をキープして、予定より2周早く僕にドライバーチェンジ(コースアウトしてフロントのリップスポイラーを落とし、アンダーステアがひどくて思うようにペースが上がらなかったから)。
「さぁ、来い!!」ってところでしょうか。 |
さて、ここからは僕の番。やる気満々でいざコースイン!
無線で「タイヤと燃料がきついので、ペース配分考えて」と早速指示がきます。ちょうど僕はそのとき何を考えていたかと言うと……。何でこんなに曲がらないの~! フロントリップってこんなに利いてんだー! どうやって走ろ~。こんな感じ。
ピットからは、2位を走っている前方のファルケンとの差を無線で教えてきます。曲がんなくて、ペースがぜんぜん上がんないんだっつーの! しかしなぜだか差は詰まってきています。みんな苦労してんだ!
ついに羽根選手にドライバーチェンジ! 同時に、給油&タイヤ交換も行われる |
気持ちを持ち直して、今まで培った“小手先”を使って何とかファルケンをパスすることに成功。この後少し雨が減ってきた頃に、1位を走行していたスカイラインが2回目のピットイン。その間に、僕がトップに立ちます。スカイラインがピットアウト。ピットから、スカイラインとの差が無線に入ります。「スカイライン15秒後方でピットアウト……、ペース上げてください!」こっちの状態分ってんのかな~? セーブしてるわけじゃなくて、目一杯だっつうの!
スカイラインのラップタイムと差が、毎周無線で知らされます。確実に、ラップタイムは敵の方が速かった。しかし、悪あがきはするもんだね! 差が7秒を切った時点から、雨が少し強くなり出し、差がつまらなくなって来たんだから。我慢比べの均衡状態が、何周も続きました。こっちはかなり無茶していて、いつコースアウトしてもおかしくないような状態。だけど、クルマのバランスはともかく、僕は結構調子よく乗れていた。確実に少しずつ差は詰められては来ていたけど、そう簡単に抜かせるわけにはいかないでしょ。
ドライバーズシートに収まる羽根選手。相棒の織戸選手がシートベルトの着用を手伝う |
何度もコースからはみ出しそうになりながらも、大きなミスもなく来ていたラスト9周目のシケイン。「アチャ! コース足りないよー」ABSが働いて、思いのほかクルマが止まりきらず……コースアウト。というか、無理にシケインを曲がろうとしてサンドトラップにハマるより、加速して突っ切る方を選択したわけです。この時点でスカイラインにトップを譲ってしまいました。もうちょっと粘るつもりだったので悔しくて仕方なかったけれど、残り8周、気を持ち直して追走に入りました。すると……、結構追いついた。スカイラインが周回遅れに手こずっている間に、0.6秒差。まだチャンスはある、と言い聞かせて周回遅れをロスなく(無茶して)抜くことで、何とかさらに少し差が詰まりました。トップに立つと、大事に行きたくなるのがドライバーの心情。これはこの差でしょう(編集部注:この時点でテールツーノーズ。この後、スカイラインと周回遅れの数台とともにもつれながらホームストレートエンドへ。ウォータースクリーンで1コーナーは煙っちゃって何も見えないような状況)。
よっしゃ捉えた。ゴールまであと3周、と思った1コーナー手前。突如ウォータースクリーンの中から周回遅れのクルマが表れた! 接触を逃れるために左にクルマを寄せたら、今度はクルマの左半分がコースにいないじゃないの。ヤバイヤバイヤバイ! ここで2度目のダート走行。何とか立て直してコースに復帰するも、この時点で決着は付きました。
激戦を2位で締めくくり、鈴木恵一チーム監督と河野横浜タイヤモータースポーツ部門責任者がガッチリ握手。気持ちいい~ |
表彰台へと向かう羽根/織戸の両選手。羽根選手の胸には“911DAYS”ワッペンがさん然と輝いているんですけど、みなさん見えますか? 写真が小さすぎて見えるわけないか。 |
この日のヒーローは、スカイラインの木下選手とチームアドバンの羽根選手。インタビュアーは、さっそく羽根選手のところにコメントを求めに来た |
このあと、最終ラップに入るときにガス欠でピットイン。最終的には、スカイラインに抜かれることに変わりはなかったわけですが、内容としてはまだまだ「ガチンコ!」まではいっていない。戦闘力不足。まだ2レースめなので諦めずにがんばっていきたいと思います。
負けたけど、レースは結構面白かった!!
ホームストレートに並べられたチームアドバン25号車。黒/赤カラーがカッコイイ |
TV番組の取材を受ける羽根選手 |
あっという間に、報道陣に囲まれてしまった |