羽根幸浩のS耐日記通算44回 ワークス勢とガチンコ勝負! 0.2秒差の3位表彰台ゲット!!
2004年10月25日
なかなか波に乗れなかったグースネック・アドバンポルシェの羽根選手だが、S耐も終盤に来た7戦で見せてくれた。予選四番手からスタートした決勝で、0.2秒差の3位表彰台をもぎ取ったのだった。
今年は、何かとバタバタしていてマメに更新できなくてすみません。
相棒の伊藤真一選手の地元、菅生に向け弾みを付けるつもりで望んだ、第6戦のTIサーキットは、散々な結果に終わってしまいました(編集部注:予選・決勝ともにクラス5位)。金曜のセミウエットのセッションで少し良かっただけで、あとはズタズタ! 新品タイヤでも、木曜の中古タイヤのタイムを更新できず大スランプに陥りました。決勝も完走こそしましたが、結果はクラスビリ! クルマのバランスとかの問題でなく、全くタイムが伸びません。2人で落ち込みながら帰ったわけですが……。あとでリアのアップライトが割れていたとのことで、原因が分かり少し気が楽になりました。
第7戦の菅生に向けては事前テストも行い、現実を直視し一からセッティングを見直すことにしました。何が何でも菅生では、いいレースをしないと……。データーを取り、菅生に来てやっと“らしい”取り組みができるようになりました。今年はなかなか必要なものも揃わず苦労していたわけですが、だからといって誰かが怠けていたわけではなく、我々プライベートチームがワークスチーム(編集部注:チーム・アドバンの#1、#25、ファルケン☆ポルシェの#33)と戦うわけですから、ハンディはあってもアドバンテージは何もありません。あとは、頭使うしかないんです。
菅生の走り出しである木曜は事前に決められたメニューをこなすため、ほとんど続けて周回をこなすこともなく、ピットインを繰り返します。天候が思わしくなく、結果的にこの日は最後までメニューをこなすことはできませんでした。
翌金曜日。思ったようにセッティングが進まず、伊藤選手とメカニックにいろいろ意見を聞きながら、必死に活路を見出そうと遅くまでミーティング。こんなことは久しぶりですが、忘れていた大事なことだったのかもしれません。そう、僕たちの活路は、頭使うしかないんですから……。
いや、正直言うと早くこうなって欲しいと思いながらも、やることがまったく上手くいかなかったというのが本当のところです。僕の頭の中は、もうパンク寸前! そんな中、相棒の伊藤選手のコメントは、新たな方向性を導き出すに十分的確なものでした。そういう方法もあったんだ! と。彼の長年の経験は、2輪の世界では超一流です。メカニックとダンパー屋さん、伊藤選手に助けられて、何とか予選までには、少し光が見えかけた金曜日でした。
予選当日の土曜の午前中は、前日決めたセッティングを確認するだけにとどまりましたが。ちょっとまとまってきました。しかし、ライバルとのタイム差は大きく、決まったというよりトラブルから抜け出したといったところです。午後の予選は、思ったようにはいきませんでしたが、確実に良くなって来ている感じがありました。予選4番手は、トップ2台(編集部注:予選1位-アドバンKONDOエンドレスポルシェ#1、予選2位-アドバンDGゼナドリンGT3#25)のタイムを除けば十分表彰台圏内には入っています(編集部注:予選3位のファルケン☆ポルシェとのタイム差0.4秒)。決勝のセッティングには、少し自信がありました。
しかし、日曜は雨……。幸か不幸か、この雨は僕たちには有利な展開となっていきます。朝のウォームアップは、ドライセットから最小厳の変更で走りましたが思いのほか調子がいい。走り出しは2番手でした。
さて、決勝スタート。5周目には、#25を抜いて単独3番手。周回遅れが出るころには、#1にいったん離されましたが、しばらくするとまた視界に戻って来ました。ペースカーが入り、前後の差が消滅。再スタートを切る頃には、確実にこちらの方が速い状態でした。
49 周目3度目のペースカーが入り、クラス2番手で予定より少し早くピットイン。伊藤選手に交代します。再スタートを切る時には、前に#33、後には#25。これらワークス勢にはさまれた状態で、同じ時にピットインを済ませた3台が固まって周回します。この時点で、後の#25との差はなくなってしまいました。ま、逆に言えば前との差もなくなったわけで……。いったんは、#25に先行されますがすぐに抜き返し、ピットは大盛り上がり! その差は、25秒まで広がります。
トップを行く#33には離されてしまいましたが、同じタイヤの#25とは最後までいいレースをすることができました。
残り25周を切ったころから追い上げて来た#25に最終ラップで抜かれてしまったものの、久々にシビレるいいレースでした。伊藤慎一、やはりこの男は只者じゃないです! あの状況でゴールまでマシンを運んだ走りには、感心させられます。なにしろ、雨の中での4輪のレース経験はほとんどないんですから。雨の中、明らかに後のペースが速いことを分かりながら、ノーミスで最後まで走り切ることはなかなかできるもんじゃないです。
108周戦って、2位と0.2秒差の3位。悔しいけど、いいレースだったと思います。