羽根幸浩のS耐日記通算22回 マシンの調子はグッドだけれど、思うように結果が出ず(後編)
2002年08月29日
予選失敗。そして迎えた決勝は、1周目から追突されタイヤバーストでピットイン。こんな状況でもレースを諦めないのはさすがプロ。全車に1周遅れとなった2周目からの羽根選手の走りは胸のすくものでした。1周で1台ずつ抜き去る怒涛の走り。カッチョよかったなァ。
今回初めてというか、やっと予選だけに合わせたセッティングにチャレンジできました。まあ、通常はやるんですが、今まではそれどころじゃないというか、時間がなさ過ぎてそこまでやってはいられませんでした。
しかし今回は、ちょっと狙って車両バランスを積極的に予選用に振ってみました。新品タイヤを履いてコースイン。アリャ! 計測1周目の1コーナーで2回転スピン! 大チョンボ!
言い訳をさせてもらうと、通常は6速から4-3-2とギアを落として行くところ、4速に入らず、そんでもって3速にも入らず……。まァ、いいや! って感じで2速に叩き込んだんですが、ちょっとタイミングが早過ぎてリアホイールがロック! で、スピン!
これはスピンしなくても済んだはずで、完全に僕のミスです。おかげで、前後タイヤにフラットスポットが出来、仕方がないんでとりあえず1周だけアタックしマシンをピットに。ステアリングをパートナーに委ねます。マシンの状況を伝えるとクオリファイだけするために計測2周。1回目は、これでおしまい。順位は忘れました(編集部は忘れてません。そこで注:予選18位)。大反省。ごめんなさいって、タイサンに来て初めて謝りました。
予選2回目は、何とか順位を上げないと……。
タイヤがないので、いきなり新品でコースイン。3周目にベストタイムが出るようペース配分を考えて走行。しかし、なかなか上手くいかないもんですね。クリアラップが全然なかったり、なんだかんだで14秒00が精一杯。なんとも不本意な結果になってしまいました。
予選2回目の一番の問題点はエンジンの不調で、なにか電気系にトラブルを抱えているんだと思います。それにしても、タイサンの26号車とくらべて最高速度が15km/hも遅いのは、なんなんでしょう。
結局、いつもと大して変わらぬ順位からレースをスタートすることになってしまいました。今回は、本当にガックリ。
決勝の直前。メカと最終打ち合わせ | |
気をとり直して、日曜朝のウオームアップ走行では、決勝用のセットの確認とマシンの調子確認。
エンジンも、ここでダメなら決勝までに載せ換えてくれることになっていました。しかし、載せ換えたエンジンは最初は絶対に回りが重くなるので、考えものなんです。といっても、今のエンジンは6レースも使っているので、賞味期限は確実に切れていることは間違いないし……。難しい選択です。
ところが、ウォームアップの結果は、8番手くらいのタイム。マシンのバランスは上出来!! ミッションはレース中に悪くなりそうな気配はあるものの、それを除けばエンジンも何とかなるギリギリといったところ。
悩んだあげく、エンジンはそのままいくことに決めました。マシンのバランスはいいので、ドライバーチェンジの時点で僕が10番手以内で帰って来れば、ピット作業をリアタイヤだけの交換で短縮し、15秒ぐらい稼げれば前の2、3台とは順位を入れ替えられるはず。なんとか、自力でポイントは稼げるでしょう。これは確率の非常に高い予想。今回は、それぐらいのポテンシャルは僕たちにはあったんです。まあ、予定通りにいかないのがレースですが……。
順位が順位なんで、1周目は見ていこうと決めていました。
ところが……。
スタート直後。
オイオイ、まだ始まったばかりだよ。こんなところでそんなことするか? お行儀が悪いにもほどがあるって! こっちがよけなきゃ当たるっつーの! どうせ抜かれるんだから、こんな序盤に少々前に行ったってしょうがないでしょ!? あなたが前に入る隙間はないよー、と教えてあげたいんですが。とにかく、前が見えてない。危ない危ない(これは僕の気持ち)と思っていたら、100Rで後ろから「ドン!」。で、僕の右リアタイヤがバースト……。
1周目からピットインを強いられることになって……。
フザけんな!!!!!!
ま、この時点でペースカーが入りましたが、コースに戻ったときには、すでに全車から1周遅れのドンジリ。万事休す。
状況はどうあれ、元を正せばこれも僕の「ごめんなさい」ですね。そんな予選順位にいる僕が悪い。もっと前にいれば、周りもそれなりのレベルのドライバーなので、そんなことが起きる可能性はかなり低い。僕がいたのは、そんなことが起きる順位。下位を走っている僕が悪い!
次回こそは何とかせねば!
毎回同じこと言っていますが、諦めるわけにはいかないんです。仕事ですから。(編集部注:なんのかんの言っても、富士の決勝は11位まで挽回しました。そのあたりはさすがです)