羽根幸浩のS耐日記通算23回 嗚呼、痛恨の大スピン
2002年10月09日
ダンパーをランゲに換えて、調子の上がったタイサン28号車。ツインリンクもてぎでは、予選結果もまずまずでいいリザルトを期待したのですが……。残りあと2戦。がんばれ、羽根選手!
ツインリンクもてぎへは、993カレラで移動しました。ノーマルのカレラも移動には硬からず柔らか過ぎず快適。最悪な首都高の継ぎ目の突き上げも許容範囲かなって感じで、タイヤが新品なのも手伝って快適なクルージングでした。ポルシェは、特にタイヤでガラッと乗り味が変わるというか、違いがよく分かるクルマですよね。
さて、ツインリンクもてぎには、我らが28号車に新兵器(ダンパーですけど)を投入するということで、期待して向かいました。そろそろ、お尻に火もついてきたしね。末期症状の28号車も、ダンパーを変えることで少しでも良くならないかなー?
急きょ無理言って造ってもらった「ランゲ」製ダンパーは、物がどうこうというより、ドライバーとダンパー製作担当者の解析能力のみに期待した投入です。ほとんどレースウィークしか走る時間のない28号車には、時間をかけて煮詰めていく余裕は残念ながらありません。今まで使っていたダンパーを調べて、そこに僕の感じた症状や方向性を話して、そこから判断して新しいダンパーをぶっつけ本番で仕上げたわけです。賭けるのはセンスのみ!
一発勝負となると、いつもの作業とはちょっと違ってきます。走り出しの段階で、確実に良くなっていなければ、今回の使用はあきらめて元に戻すつもりでした。
練習走行1回目。
コースインして数周でニヤリ。アンダーだ! 今までのようなブレーキングを伴うターンインでも、リアが滑り出すことはほとんどない。どちらかというとプッシュアンダーの傾向が強く、これはちょっと行けるかなって感じで、順位も7、8番手ってところ。好感触で1回目の走行を終えます。アンダーを消すのは難しくなさそうだし。
残念なことに2回目の走行は、ギアの組み換えに手間取ってほとんど走行できず。「またかいな、フウ……」。これで、他車に少し遅れをとることになってしまいます。1セッションの遅れは、セットの進み具合に必ず影響してくるものなんです。
土曜の予選は不安定な天気ですが、何とかドライで走れそう。ただし、いつ雨が降ってもおかしくない。様子を見ながら数ラップし、取りあえずクオリファイするためにドライバーチェンジ。タイミングを見て、タイムアタックに入ることにしました。ところが、アタックに入る頃に雨が降り出し万事休す。このまま午前の予選を終えます。12番手……、少々残念。
2回目の予選は、セッティングを変えて上位を狙うことに。新品タイヤに変えて計測2周目57秒00、3周め56秒8、4周目(ミッション入らず)。結局、これで終了。9番手。3周目も一度シフトに手間取っているので、何とかなんないもんですかね。そろそろ直って欲しいこのミッションの持病……。今回はちょっと悔しいね! 56秒前半は行くつもりでいたから。
日曜朝のウオームアップは、決勝用セッテイングの再確認。迷うところあって、いつもと違う方向に仕様を変更しましたが、これには結構自信あり。
やや暗い天気の中、レースはスタートしました。予定では、自力で5番手まで上がれれば、ピットで順位を入れ替え4位って感じかな。なかなか思うようにはいかないけれど、今回こそは!
決勝のスタート直後、1台に抜かれたものの、徐々に挽回して2台パス。前のマシンが少しでもミスれば、いつでも仕掛けられる状態。4位の車両までは十分射程距離にありました。4位までは、GT500がラップしていく頃に、これを使って何とか前に出たいと考えます。
ここもてぎは、とにかく抜きにくい。まともに抜くのは、かなり至難の業。GT500の周回遅れになるのをうまく利用して、前に出たいと考えるわけです。しかし、そこに悪夢は潜んでいました。立体交差を抜けたところで、スカイラインの陰に隠れて鼻先をMR-Sのイン側に入れようと、いつもと違うラインを通ったのが最悪。エンジンブローして止まったHKSの撒いたオイルに乗ってしまい、制御不能の大スピン! スピードが出ているところだけになんとも止まらず。砂にズボ! 一瞬あっけにとられ、何が起こったんだろ? 状態。
ともかく、痛恨の失敗! アウト側のタイヤが乗るところではないので気が付きにくかったが、たしかに視認できるところにオイル染みはありました。策におぼれたってやつですかねー。何はともあれ、僕のミス。
ごめんなさい。ピットに帰ってから、みんなに謝りました。黙ってがんばるしかないなァ、こんなときは、ウン。