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ポルセキ新聞タルガ万歳その250.4000回転以下に落としてならぬ

更新日: 2012年11月19日

【関】先日、67年911Sの超完調モデルの助手席でその走りを体感させていただく機会がありました。ドライバーは、御年60歳を超える超ベテランメカニック氏です。ワタシは勝手に先生と心の中で呼んでおります。

　それにしても、完調の67年911Sの2リッターエンジンって、あんなに上までストレスなく回るんですね。レッドゾーンまでビンビン。エンジンの音も、それはそれは精密機械がみっちり回る機械的なシビレル音がして、助手席ながら興奮の坩堝と化してしまいました。

　先生の運転は、とにかく低いギアで引っ張りまくり。曰く「4000回転以下に落としてはならぬ」と。もともと2リッターのSエンジンは、低回転域のトルクが細いのですけど、理由はそれだけではないようです。答えは、67年911Sを止めてエンジンを切り、エンジンルームを開けたときに分かりました。

「クーリングファンを触ってごらんなさい」

　ワタシは一瞬、え？　熱くないの？　と思いましたが、口に出さずコワゴワした手つきでクーリングファンを触ってみました。

　わりと冷たい。

「冷たいでしょ。クーリングファンは、あれぐらい走ってもちゃんとエンジンを冷やしてくれるんだ。ということは、ちゃんと回転を上げて走ってやらないと、クーリングファンのすぐ下にある1番と4番シリンダーだけが冷やされて奥のシリンダーとの熱膨張の差が起き、それがオイル漏れの原因になるんだ」

　なるほど。たしかに、一生懸命エンジンを回して走ってやらないと、エンジン全体の熱不足で、1番と4番シリンダーだけが特に冷えてしまう構造になっております。これは、空冷エンジンであれば、ナローも993も同じの模様。先生！　930タルガも同じですか!?　と当たり前のことを聞いたら、「そうだ、4000回転以下に落すな」とお教えいただきました。

エンジンフードを開けると貼ってあるのが、シリンダーの点火順ステッカー。手前が1番と4番です

　数日後、930タルガの人となったワタシは「4000回転、4000回転」と念仏のように唱えながら、街中を2速、4000回転以上を保って走行。赤信号で横に並んでいたクルマを2速4000回転以上で唸りを上げながら引き離し、レッドゾーン手前で3速へシフトアップしてすぐ赤信号。さっきのクルマに追いつかれて、横に並んでエヘヘ、ということを繰り返しておりました。当然、やや混んだ道路でも、2速4000回転以上で巡航していますので、タルガだけ速度のわりにひときわ「やる気」な雰囲気。横のクルマのオバちゃんも、絶対にこっちを見てくれませんでした。

　高速道路でも、もちろん4000回転以上をキープ。よって4速が限界で、5速なんて夢のギアであります。なにせちょっと混んでいるときは、3速のままエンジンを吠えさせて走っていたぐらいですから。

　停車後、クーリングファンを触ってみると。

　ほんのり暖かい。

　あんなにブン回して走り続けたのに、この冷え具合。おお！

　しかし先生!　街中4000回転以上キープは、なかなかシンドイものがありますデス。